2002年度後期 第10回 細胞生物学セミナー

日時:1126() 17:00

場所:ゼミ棟 C

 

Expression of Endoxyloglucan Transferase Genes

in acaulis Mutants of Arabidopsis

 

Taku Akamatsu, Yoshie Hanzawa, Yuhko Ohtake, Taku Takahashi

Kazuhiko Nishitani, and Yoshibumi Komeda

Plant Physiology, November 1999, Vol. 121, pp. 715–721

 

アラビドプシスを含むロゼット植物において、ボルティングの開始(節間の伸長開始)は花芽形成後におこる。このプロセスはおそらく植物ホルモンによって仲介されている。しかし、それらの影響は明らかではない。

著者らは節間において細胞の伸長の基礎をなす分子を明らかにするため、節間細胞の長さを減少させるアラビドプシスの変異体acaulisacl)を単離した。 遺伝学的解析で、沢山の座位のあることがわかり、現在まで、5つ、acl1 acl2 acl3 acl4 acl5 が確認されている。以前の研究で、節間成長を著しく制限する欠陥のあるacl5は開花後、細胞壁構築に関わる遺伝子、EXGT-A1の転写レベルを低下させるこが示された。そこで今回、著者らはさらに、EXGT遺伝子ファミリーの5つのメンバーを用い、その発現パターンを野生型とacl変異体系列において調べた。

 野生型植物にの器官(根、ロゼット葉、節間上部、下部、花芽、サヤ)においてEXGT-A3遺伝子は節間上部より節間下部において高い発現を示した。一方、EXGT-A1は節間上部で高い発現を示した。EXGT-A4は根において、XTR3はサヤにおいて特異的に発現していた。XTR2は恒常的にどの器官でも発現していた。

 節間の伸長と同様に葉の拡大に激しい欠陥のあるacl1、acl3、acl4変異体においてはEXGT-A1遺伝子はボルティングが始まる前で発現レベルが低下した。この発現の低下は、ボルティング後も、acl2を除くすべてのacl変異体で検出された。XTR3は芽生えにおいて発現は増加した。

これらの結果から、器官の発達の異なる段階で、それぞれのEXGT遺伝子が関連していることが示唆された。acl変異体はどのようにEXGT遺伝子発現の経路に作用するかを明らかにするために、現在、acl遺伝子のクーロニングを進めている。

         興味をもたれた方は御参加ください  善光 千晶