2003年度 前期5回 細胞生物学セミナー

日時:5月13日(火)16:30~

場所:総合棟6階 クリエーションルーム

Transcriptional and Posttranscriptional Regulation of Arabidopsis TCH4 Expression by Diverse Stimuli. Roles of cis Regions and Brassinosteroids

Emanuil A. Iliec, Wei Xu, Diana H. PoNaoki Nakagawa and Naoki Sakurai (2001)

Plant Cell Physiol. 42(2):240-244

 

 アラビドプシスTCH4はキシログルカン糖転移酵素/加水分解酵素をコードしている。ゆえにTCH4発現の変化は細胞壁の再編成を起こすと考えられる。TCH4は接触、暗条件、低温、熱などの環境刺激やオーキシン、ブラシノステロイドというような植物ホルモンによって発現が高められることが明らかになっている。しかし、TCH4はどのようにしてこのような様々な刺激に応答して、発現を調節しているかは明らかになっていない。

 TCH4の約1kbpの5’-非コード配列に発現の誘導を制御する領域が存在することがこの研究で示唆された。そこで著者らは、この領域に個々のシグナルに対応するシスーエレメントが存在するのか、それとも複合する刺激に反応するシスーエレメントが存在するのかを検討した。後者の場合、様々な環境刺激によるシグナル経路は最終的に一つとなり、ブラシノステロイドのような内性因子の量を変化させる。そしてこの内性因子の変化がTCH4の発現を調節しているという仮説を立てた。

 転写活性部位の特定はTCH45’-非コード配列と、レポーター遺伝子としてGUSまたはLUCを接続させた融合遺伝子を用いることで行った。この遺伝子を導入したアラビドプシスに様々な刺激(接触、暗条件、低温、熱、ブラシノステロイド)を与えた。

 その結果、転写開始部位から遠位な領域は、TCH4の発現の大きさに影響することが明らかになった。また5’-UTRは著しい一時的なTCH4の発現を起こし、mRNAの安定性に影響を与えることが分かった。TCH4の調節は転写調節と転写後の調節の両方が関わっていることが明らかになった。

 さらに著者らはTCH4調節の仲介としてのブラシノステロイドの役割を検討した。ブラシノステロイドの生合成、感受が成されない突然変異体bri1-2,およびdet2-1に、-958〜+45TCH4::GUSを導入し発現を観察した。TCH4:: GUSはどちらの変異体でも発現した。ゆえに、これはTCH4の発現はBRによってだけで調節されていると考えることはできないことを示唆する。

 

興味をもたれた方は御参加下さい。 善光 千晶