2003年度 前期11回 細胞生物学セミナー

日時:6月24日(火)16:30~

場所:総合棟6階 クリエーションルーム

SOMATICV EMBRYOGENESIS AND PLANTOLET REGENERATION IN MANGO (MANGIGERA INDICA L.)

LILIAN F. PATENA, LUZMINDA R. CARLOS_REFUERZO, RAMON C.BARBA

In Vitro Cell. Biol.-Plant 38 : 173-177, March- April 2002

 

 植物は、高度に分化した体細胞も、全能性を持っている。これは、動物細胞には見られない性質である。この性質を利用して、植物のあらゆる所から体細胞を取り出し、カルス細胞を作り、そしてカルス細胞をある条件下で培養し、器官文化を引き起こす。このようにして、受粉を得ること無く、短期間で大量の作物や植物を得ることが、組織培養技術の発達で可能になった。

 しかし、木本植物の組織培養は、フェノール系物質の生産による細胞の褐変が起こりやすいため、カルス細胞を作ることも大変困難である。マンゴー(Mangifera Indica L.)もその1つである。

 マンゴーは今や、フィリピンにおいて、三番目に多く輸出されている貴重な作物である。マンゴーは有効保存機関が短いこと、生産される季節が限られていることから、その生産量に対し、輸出される割合は少ないが、それらの問題は遺伝子組み換え技術により、改良可能である。今回の実験では、マンゴーのカラバオ種10品種と未確認品種2種の未熟種子からとった珠心組織を実験材料に、組織培養を行い、カルス・胚発生、また発芽に最適な、2,4-D、活性炭の量を調べた。そして、組織培養における大問題、褐変を抑制する培地を考案した。その培地は、改良を施したGamborgsB5多量元素、MS微量元素、MSビタミン、鉄分、グルタミン、スクロース、ココナッツウォーター、ゲルライト、そして、肺の生長に最適な2,4-D、活性炭を含んだもので、BP培地と名付けた。マンゴーの組織培養において、カルス形成から三次胚形成までは、BP培地を基本としたMMSE培地、発芽培地はMMPR培地を用いた。これらは、一貫して固体培地が用いられた。BP培地は、体細胞胚の褐変を制御するだけでなく、マンゴーにおけるカラバオ種以外の14品種においても適応した。この結果、珠心組織を接種してからわずか6〜10ヶ月間で小植物に生長した。

 

興味のある方は是非ご来聴ください。 後藤 英子