2003年度 前期10回 細胞生物学セミナー
日時:6月24日(火)16:30~
場所:総合棟6階 クリエーションルーム
Immunogold Labeling of Rosette Terminal
Cellulose-Synthesizeing Complexes in the Vascular Plant Vigna angularis
Satoshi Kimura, Walairat Laosinchai, Takao Itoh,
Xiaojiang Cui, C. RandalLinder, and R. Malcalm Brown, Jr.
The Plant Cell, Vol. 11, 2075-2085, November 1999
セルロースは地球上で最も豊富な生体高分子であり、細胞壁の主要な構成要素である。過去50年間、セルロースの合成機構について徹底的に研究されてきたが、その機構は植物化学において最大の数の1つであった。
セルロース微繊維は酵素複合体により組み立てられると仮定され、この仮説を立証するために、原形質膜のfreeze-fracture(凍結割断)法を用いて酵素複合体と言われている、6つの分子からなるロゼット(TC)が、糸状のセルロース微繊維を完全に結合させ、セルロース微繊維を合成することが発見された。
今回は、維管束植物Vigna angularisを用いて、細胞膜のfreeze-fractureレプリカを作り、CelAタンパク質を認識する抗体により細胞膜状にあるロゼットTCのセルロース合成酵素触媒サブユニットに標識をつけて、ロゼットTCの局在下を免疫細胞化学的に確かめた。また、コロイド状の金分子を標識に用いて、透過型電子顕微鏡により観察した。
この金分子がロゼットTCに特異的に結合していることの証明には、タンパクゲルブロット分析を行った。これにより、抗体がセルロース合成酵素に対して特異的に反応していることが分かった。またワタ、Vigna
angularis、シロイヌナズナの細胞質膜の断片を用いて分析を行い、セルロース合成酵素に関与しているCelA遺伝子が維管束植物においてよく保存されていることが分かった。
また、細胞膜のfreeze-fracture標識分析の結果から、ロゼットの標識に免疫血清を用いることが効果的であることが示された。
本実験では、維管束植物において、セルロース合成酵素はロゼットTCを構成しているという長年の過程を確認し、加えて、CelA遺伝子がセルロース合成酵素の遺伝子の1つであることを証明した。
興味のある方は是非ご参加ください。 岡田 千佳