2003年度 前期18回 細胞生物学セミナー
日時:7月22日(火)16:00~
場所:総合棟6階 クリエーションルーム
Interaction of phyatochromes A and B in the
control of de-etiolaton and flowering in pea
James L. Weller, Nicola Beauchamp, L. Huub J.
Kerckhoffs, J. Damien Platten and James
B.
Plant J 26, 283-294 (2001)
光周期は多くの植物種に置いて開花時期を決定する上で重要な環境要因である。いくつかの種に置いて、光周期の応答は葉で見られ、適切な時期に、開花が誘導される頂部に情報が伝達されることが分かっている。開花誘導は複雑な過程で成り立っており、これまでに光の感受、時間の計測、植物体内でのシグナル伝達の方法について研究されてきた。多くの種において、赤色、遠赤色光を吸収するフィとクロムが開花時に重要な役割をすることが知られている。開花におけるフィとクロムの関与については、主に、長日植物であるエンドウとシロイヌナズナのフィとクロムの突然変異体を用いて行われてきた。開花の促進時にphyAが関わり、抑制時にphyBが関わることが分かっている。また、光感受の下流の調節因子も同様に研究されてきた。光周期の応答性に欠陥のある突然変異体はgraft-transmissible
inhibitorの生成、輸送に欠陥のあること、また、phyAに欠陥のある突然変異体は開花の誘導時にこのinhibitorの抑制に欠陥のあることが分かっている。しかしながら、phyBが開花のシグナル伝達経路に及ぼす効果についてはまだ良く分かっていない。そこで著者らは、エンドウのPHYB遺伝子の同定、突然変異体の作成を行い、さまざまな光条件下でphyAに欠陥のある突然変異体と形態を比較することにより、phyBのシグナル伝達経路の解明を行った。
白色光下で生育されたphyAphyB突然変異体は、発芽とその後の発達のステージに両方において脱黄下が失われており、また、葉の数が少なく、肥大して、節間はねじれ、全て茎の組織の細胞は大きくなっていた。赤色光の強光照射による脱黄下時に、phyAとphyaBは重複した機能を持っていることが分かった。phyAphyBは、脱黄下やshade-avoidance処理時にフィトクロムの関与する反応は見られなかったが、赤色光照射において部分的に脱黄下が見られた。phyBは、長日条件、短日条件下の両方において花の形成が阻害したが、この阻害はphyAの発言による促進作用が必要だった。phyAはend-of-day光条件下での開花において単独で主要な役割を果たした。一方、phyBはendo-of-day、nightbreak、day
extentionの各光条件下で発現が見られた。また、phyBの阻害効果はgrafig-transmissible inhibitorによるものではなかった。これらのことから、phyBはphyAと異なった経路で開花の制御を行っていることが示唆された。
興味のある方は是非ご参加ください。 藤林 茂隆