2003年度 後期2回 細胞生物学セミナー
日時:10月14日(火)16:30~
場所:総合棟6階 クリエーションルーム
John C. Gardiner, Neil G. Taylor, and Simon R. Turner
(2003)
The Plant Cell : 15, 1740-1748
セルロースはβ(1−4)で結合したグルコース鎖の細い連鎖で構成されていて、細胞壁の主要な構成要素です。植物細胞壁内のセルロースミクロフィブリルの方向は、細胞伸長の方向を決定しています。それゆえに、セルロースは細胞の形や植物の形態を決定しているといえます。現在、セルロースミクロフィブリルの方向は下にある皮層の微小管と平行で、それら微小管がセルロース合成酵素複合体(CSC)の働きを抑えることによって、ミクロフィブリルの方向をコントロールしているという仮説が立てられています。今までに識別されたCSC唯一の構成要素はセルロース合成酵素蛋白(CseA)で、触媒作用サブユニットであると考えられています。少なくともIRX3(AtCesA7)、IRX1(AtCesA8)、IRX5(AtCesA4)の3つのCesA遺伝子が、発達中の導管の二次細胞壁中でのセルロース合成に必要とされていることが分かっています。それら3つの蛋白はお互いに影響しあい、同じ複合体の要素となるのだと考えられています。しかし微小管がミクロフィブリルの沈着の方向を定めるのか、そしてどのようにしてそれらが起こっているのかは分かっていません。
発達中の木部は構造の研究やCSCを標的にするためのシステムにとって多くの利点をもっています。二次細胞壁は、非常に特徴のあるパターンで細胞の周りに沈着し、その場所では、皮層の微小管が濃い帯模様に見えます。この研究では、シロイヌナズナの発達中の木部内のCSCの集合や配置の研究、それらのプロセスを管理する中での細胞骨格の役割を決定するために、特定のセルロース合成酵素の抗体や緑色蛍光蛋白(GFP)を用いました。二次細胞壁の沈着している領域はCSC密度が非常に高いという特徴があり、それに対して二次細胞壁の肥厚していない同じ細胞膜の隣接した領域では、CSCが非常に少なくなっていました。また、皮層の微小管配列は、CesA蛋白の局在化を引き続いて維持し続けるために必要とされているが、比較すると、アクチンフィラメントはCesA蛋白と共に局在せず、それらの局在に対して直接的な役割を行っていないように思われた。
それらの結果から、3つ全てのCesA蛋白質が原形質膜に局在化のために必要とされる、微小管がCSCとは無関係に集まり、そしてそれらが連続的に適切なCSC局在を維持するために必要とされるということを示します。
興味のある方は是非ご来聴下さい 中林 いづみ