2003年度 後期第8,9回 細胞生物学セミナー

日時:11月4() 1630

場所:総合研究棟6階 クリエーションルーム

 

CRABS CLAW, a gene that regulates carpel and nectary development in Arabidopsis, encodes a novel protein with zinc finger and helix-loop-helix domains

John L. Bowman and David R. Smyth

Development 126, 2387-2396 (1999)

 

CRABS CLAW(CRC)は、1998年に著者らによって新たに発見されたArabidopsisの遺伝子で、ABCモデルのクラスC遺伝子であるAGAMOUS(AG)の機能を補助していると考えられている。このCRCの働きは、心皮の幅と長さの調節をおこない、心皮の基部で発生する蜜腺の発達に必要とされていることが、多重変異体の実験から明らかとなってきた。今回、著者らはこのCRCの機能について、さらに具体的な情報を得るため遺伝子構造とその発現について研究をおこなった。

まず、CRCのcDNA塩基配列を決定し、タンパク質のアミノ酸配列を明らかにしたところ、7つのエクソンを持ち、181のアミノ酸からなるタンパク質をコードしていることが分った。さらに、このタンパク質はアミノ末端近くにC2C2 zinc finger状の領域を含んでいた。また、HMG boxに見られる三つのhelixの内、最初の二つのhelixに類似するhelix-loop-helixの構造が確認された。zinc finger領域は転写因子の活動領域に特徴的なもので、helix-loop-helixは潜在的に核局在性シグナルとして働くことから、CRCは転写調節機構の一部であることが強く示唆された。データベース調査をおこなう中で、CRCArabidopsis genome projctより配列決定された4つの遺伝子とイネの配列に全て同じC2C2 zinc finger状の領域とhelix-loop-helixが含まれていることが発見された。このような特徴は他の遺伝子ファミリーには見られないことから、“YABBY”と名付けて新たなファミリーとした。

次に、in situハイブリダイぜーション法を用いてCRCの空間的・時間的な発現を調べる実験をおこなった。野生型におけるCRC発現と、そのコントロールとしてSPATURA(SPT)と各ABC遺伝子の変異体におけるCRC発現を確認した。この結果から、CRCは蜜腺の発達に必要であることが明らかとされた。また、CRCの発現はクラスAB機能によって抑制されるが、クラスC機能からは独立して発生することが考えられた。しかし、これに反して、クラスAC機能がCRCのmRNAの空間的・時間的な発現パターンに影響している可能性も残されている。これらの調節機構を明確にしていくことが、これからの課題であるとしている。

 

興味のある方は、是非ご参加ください      川田 梨恵子