2003年度 後期8,9回 細胞生物学セミナー
日時:11月04日(火)16:30~
場所:総合棟6階クリエーションルーム
Functional Analysis of the Cellulose Synthase
Genes CesA1, CesA2, and CesA3 in Arabidopsis
Joanne E. Burn, Charles H. Hocart, Rosemary J. Bbirch,
Ann C. Cork, and Richard E. Williamson
Plant Physiology, June 2002, Vol.129, pp.795-807
セルロースは最も豊富な植物多糖であり、個々の細胞や植物全体を物理的に支えている。セルロース合成酵素の10のCesA遺伝子は幾つかのグリコシル転移酵素をコードしている。これらの変異体の表現型の特徴を調べることにより、一次、二次細胞壁でセルロースを沈着する遺伝子を特定することができる。
セルロース生合成にはこれらの遺伝子のうち5つが関与すると考えられており、各遺伝子の変異体は主に一次、二次壁沈着に変異が見られる。セルロース欠乏状態では、CesA1は変異を起こし、rsw1-1(放射状にふくらむ変異体)となる。CesA1,CesA3,CesA6は一次壁沈着に関与し、CesA7,CesA8は二次壁沈着に関与する遺伝子であることが分かっている。
今回我々は、まだよく分かっていないCesA2(AthA)の機能を研究するために、アンチセンス変異体を用いた。そして、全ての器官でのセルロース生合成について、CesA1(RSW1)、CesA3(AthB)の重要な関連性を確立するためにも、アンチセンス技術を用いた。
各アンチセンス植物については、形態的なレベルから遺伝子レベルにおいて調査を行った。CesA2アンチセンス植物の表現型は野生種と変わらなかったが、CesA1とCesA3のアンチセンス植物の表現型は非常に似ていて、植物の成長がすごく阻害され、遺伝子の発現量にも阻害関係が見られた。それぞれのアンチセンス植物の細胞数、細胞長を調べたところ、細胞数よりも細胞長の減少の方が、花茎や雄しべを短くしていることが分かった。また、CesA1やCesA3変異植物において、前セルロース量の減少は有意のぎりぎりの量だった。我々は、CesA1,CesA3様のものは一次壁のセルロース沈着に必要となると結論付けた。
さらに、これら2つの間で機能的に重要な違いがあるかどうか調べた。CesA1変異体(Rsw1-)でCesA3を過剰発現させ、そのときのCesA1やCesA3はもう一方の遺伝子が複製できなくなる機能を持つかどうかの遺伝子レベルでの試験を行った。Rsw1変異体内にCesA3を過剰発現させると、形態的には花茎が大変短くなり変異を細くすることはできていなかったが、ノーザンプロット試験を行うとCesA3の発現が強く観察された。
興味のある方は是非お越し下さい。 岡田 千佳