2003年度 後期7,8回 細胞生物学セミナー

日時:12月09日(火)16:30~

場所:総合棟6階 クリエーションルーム

Gibberellin Signaling in Varley Aleurone Cells. Control of SLN1 and GAMYB Exppression

Frank Gubler, Peter Michael Chandler, Rosemary G.White, Danny J. Llewellyn, And John V. Jaocobsen

Plant Physiol. 129 : 191-200 (2002)

 

 コムギ、オオムギなどの種子の胚乳には、糊粉層と呼ばれる、蛋白質を多く含む数層の細胞層が存在する。これらの種子では種子が給水した結果、胚において植物ホルモンであるジベレリンが合成され、これが糊粉層に作用してデンプン分解酵素のα−アミラーゼを誘導し、胚乳のデンプンを糖化する。種子はこの糖をエネルギーとして発芽するのである。

 著者らは、以前の研究によりジベレリンによって調節を受けるα−アミラーゼ遺伝子の転写活性因子であるGAMYBをオオムギ糊粉層から単離した。また、最近の研究により、徒長型突然変異体であるSln1(Slender1)から単離されたSLN1がオオムギ糊粉層においてGAMYBのようなジベレリン応答性遺伝子を抑制する働きを持つことが示唆されている。SLN1は植物特異的なGRAS familyの一因であり、保存されたアミノ酸配列を有する。その一つであるDELLA領域はジベレリンシグナル応答に関与しているのではないかと考えられてきた。

 今回著者らは、糊粉層においてジベレリンがGAMYBの転写を高めること、またGAMYBの抑制にはSLN1画筆用であることを実験により明らかにした。

 さらに、GAMYB、SLN1のmRNAおよびタンパク量を測定することによって、ジベレリンによるGAMYBの蛋白レベルの上昇には、SLN1蛋白の減少が先立つこと、また、このSLN1蛋白レベルの減少にはSLN1のDELLA領域およびCOOH末端が重要であることを証明した。

 今回の研究によって、オオムギ糊粉層におけるジベレリンシグナル伝達のメカニズムの一端が明らかにされたといえる。

 

興味のある方は是非ご参加下さい。 壺井 愛子