2004年度 前期第5回 細胞生物学セミナー

 

日時    2004年5月11日(火) 16:30~

場所    総合研究棟6F クリエイションルーム

Gibbestatin B inhibits the GA-induced expression of

α-amylase expression in cereal seeds.

Ken-ichiro Hayashi, Masahiko Inoguchi, Hirokiyo Kondo, Hiroshi Nozaki

 

Phytochemistry 55:1-9(2000)

 

 

二つの植物ホルモン、ジベレリン(GA)とアブシジン酸(ABA)は、植物の生長と発達に異なる働きを持つが、ともに深く働いている。オオムギのアリューロン層では、GA3によりα-amylaseの発現が誘発し、ABAはGAが引き起こしたα-amylaseの発現を抑制することが知られている。現在の研究において、gibbestatin B (GNB)は細菌の一種であるStreptomyces sp.C-39から、GAが誘発するα-amylaseの発現の抑制剤として分離されたのものである。この物質のオオムギとイネのIC50(半減)値はそれぞれ125及び70mMである。GNBはGAがひきおこすオオムギのhigh-pI α-amylase typeB、イネのRAmy1A α-amylaseの転写産物の蓄積を抑制する。しかしながら、GNBはオーキシン誘導性parBプロモーター遺伝子を導入したタバコのGUS発現抑制をしめさない。ABA誘導性の転写産物であるHVA1はGNBによって影響されない。さらに、GNBはGAによってひきおこされるアリューロン細胞の細胞死を妨げる。タバコとシロイヌナズナの植物体の中で、GNBは毒性なしに発芽を抑制し、芽生えの成長を遅らせる。gaispyそしてabi変異体もGNBによって成長を妨げられた。GA合成阻害剤によって成長が阻害された通常の植物、またGA欠損とGAシグナリング変異体は、ふつうわい性で暗い緑の葉を持つ。しかし、矮小で健康な緑の葉が、GNBを与えた普通の植物体では見られる。GAによって引き起こされる植物の茎の成長は、GNB存在下でもみられた。これらの分析はGNBがGAの誘導するα-amylaseの発現を抑制する、ABAのシグナリングの段階のうちの一つに関わると言うことを示している。しかし、弱いABA類似体のように働くものではないことを示した。

 

 

興味のある方は是非ご来聴ください。            三森 裕吉