2004年度 前期第15・16・17回 細胞生物学セミナー
日時 2004年7月6日(火) 16:00~
場所 総合研究棟6F クリエイションルーム
AXR2 Encodes a Member of the Aux/IAA Protein Family
Punita Nagpal, Loni M. Walker, Jeff C. Young, Ami Sonawala, Candace Timpte, Mark Estelle, and Jason W. Reed
Plant Physiology 123:563-573(2000)
シロイヌナズナのaxr2-1優性の機能獲得型変異体は、重力感受性のない根と茎の成長を引き起こす。また、胚軸と茎は短く、根の成長においてオーキシン、エチレン、アブシジン酸の影響を受けない。
我々はmap-based法でAXR2遺伝子をクローン化した。その結果オーキシン誘導性遺伝子であるIAA(インドール-3-酢酸)ファミリーのIAA7と同じであることを発見した。axr2-1変異体は、AXR2/IAA7のドメインにある一つのアミノ酸に変化がある。
我々はaxr2-1の遺伝子内サプレッサーとしてAXR2/IAA7機能欠損変異、またIAA遺伝子に挿入変異があるものを単離した。AXR2/IAA7の無発現変異体は野生型の植物に比べ、若干長い胚軸を持ち、AXR2/IAA7はおそらく他の遺伝子産物と協力して、芽生えの明所での発達を制御していることを示した。暗所で生育させたaxr2-1変異体は短い胚軸と葉をもち、それはAXR2/IAA7が光によって誘発される形態学的な応答を誘導する。以前に報告されている他のふたつのシロイヌナズナIAA遺伝子(axr3、shy2)に半優性変異があるものは、いくつかのaxr2-1と同じフェノタイプを引き起こす。しかし、また、異なったフェノタイプもひきおこす。これらの結果はIAA遺伝子ファミリーのそれぞれメンバーが、違った機能を持っていることを示す。
筆者らは、axr2-1が変異を起こしているドメインに対して、このドメインはAux/IAAタンパクがすぐに分解されるためのものだという一つのモデルを提唱している。エンドウのPs-IAA4とPs-IAA6タンパクはとても短い半減期をもつ(Abel et al., 1994)。そして、このドメインに変異があるものはこの分解が減少する(Worley et al., 2000)。
興味のある方は是非ご来聴ください。 三森 裕吉