2004年度 前期第5・6回 細胞生物学セミナー

 

日時    2004年10月12日(火) 16:30~

場所    総合研究棟6F クリエイションルーム

The ARG1-LIKE2 Gene of Arabidopsis Functions in a Gravity Signal Transduction Pathway That Is Genetically Distinct from the PGM Pathway

Changhui Guan, Elizabeth S. Rosen, Kanokporn Boonsirichai, Kenneth L. Poff, and Patrick H. Masson

 

Plant Physiology 133:100-112(2003)

 

重力は植物の器官生長を先導する環境のうちのひとつである。シロイヌナズナ芽生えでは、シュートは上に向かって生長し、負の重力屈性を示す。一方根では下に向かって生長し、正の重力屈性を示す。arl2変異体は胚軸と根の重力屈性に変化を示す。ところが、その花茎は重力屈性を十分に示す。興味深いことに、変異体の根は植物ホルモンとオーキシンの極性移動阻害剤にwild-typeのように応答した。また、それらの根冠のコルメラ細胞はデンプンをwild-typeの細胞と同じように蓄積しており、変異体の胚軸は側方からの光刺激に、強い光屈性応答を示す。ARL2遺伝子はDnaJ-likeタンパク質をARG1(以前シロイヌナズナの芽生えにおいて、重力シグナルの伝達に関係があるとされた)と同様にコードしている。ARL2は芽生え、生長した植物体のどの組織でも低いレベルで発現する。arl1-2arg2-1ダブルミュータントの根はシングルミュータントと同じ根の動態を示す。しかしながら、arl2-1pgm-1(デンプン生合成遺伝子PHOSPHOGLUCOMUTASEに変異を持つ)のダブルミュータントはホモ接合型の、シングルミュータントより重力屈性の欠損した根の状態を示す。一方ARL1の無発現変異、ARG1ARL2のパラログである、は、WTと重力屈性とそれに依存する検定に同じように反応する。まとめると、結果はARG1とARL2の機能は、シロイヌナズナの芽生えの胚軸と根における同じ重力のシグナル伝達系で、PGMの関わるものとは別の系であることが示唆された

 

 

興味のある方は是非ご来聴ください。            三森 裕吉