2005年度  前期第1回  細胞生物学セミナー

日時 : 4月19日(火) 17:00〜

場所 : 総合研究棟6階 クリエーションルーム

 Plant body weight-induced secondary growth

in Arabidopsis and its transcription phenotype

revealed by whole-transcriptome profiling

Ko, J. H., Han, K. H., Park, S., and Yang, J. (2004)

Plant Physiol. 135 , 1069-1083

 

 木本植物では二次生長と呼ばれる過程において維管束形成層から二次組織 (すなわち木部)を生産する。 二次生長は重要な生物学的過程であり、この生成物は建材や紙製造においてのパルプとして私たちの生活にも関わっている。 しかしながら、二次生長の分子生物学的な研究は、生育期間が長い、植物体のサイズが大きいというような木本植物がもつ実験上の問題によってあまり進んでいない。近年、草本植物ではモデル植物であるシロイヌナズナにおいて分子生物学的な研究は非常に進んでおり、また木部の発達が妨げられる様々な変異体も単離されている。また、花芽を繰り返し除去し開花を抑制することで二次生長が誘導されることが知られている。しかしながら、この方法では花芽の除去による植物体への影響が考えられる。そこで筆者らは、シロイヌナズナの二次生長をコントロールすることのできる実験系を確立し、マイクロアレイを用いて木部形成中の花茎のホールトランスクリプトーム解析を行った。

 本研究では、まずシロイヌナズナを短日 (8h 明期 /16h 暗期) 条件下で7週間生育させ、その後長日 (16h 明期 /8h 暗期) 条件で生育させることで二次生長を誘導した。長日処理の期間 (5-10日 ; Fig. 1A) を調節することによって、様々な二次木部の発達段階と茎の丈の高さをもった同じ齢の植物体を手に入れることを可能にした。またこの実験から二次木部の発達は丈の高さに相関していることがわかった。このことから筆者らは、シロイヌナズナの一次生長から二次生長への移行は、花茎によって伝達される重さによって誘導されると仮定し、その仮説を確かめるために花茎に重りをのせることで二次木部組織を誘導することを試みた。その結果、重りをのせた花茎では二次木部組織がコントロールにくらべ著しく発達していた。

 筆者らは木部形成においてオーキシンが重さのシグナル伝達を仲介してしていると考え、オーキシンの含んだ寒天を花茎先端を切り落としたシロイヌナズナの花茎にのせた。その結果、オーキシン寒天処理を受けた植物体は花茎の至る所で二次木部を発達させた。この結果は重さの刺激をオーキシンが仲介し、二次木部を発達させるということを示唆している。

 次に筆者らは、 Affymetrix社製 Gene Chip Arabidopsis ATH1 Genome Array を用いて、マイクロアレイによる花茎のホールトランスクリプトーム解析を行った。その結果、木部形成中の花茎において発現上昇している遺伝子の多くはそれらのプロモーター領域にオーキシン反応性シス-作用性エレメントをもってることがわかった。 それは二次生長がオーキシンの仲介によって調節されていることを示している。また一次生長から二次生長への移行の間に特異的に発現上昇した700の遺伝子を同定した。これらの遺伝子のうち40%以上はシグナル伝達と転写調節に関係していた。

  

     興味をもたれた方は是非ご参加ください。来聴を歓迎します。  玉置 大介