2005年度 前期第9回 細胞生物学セミナー
日時 2005年5月31日(火) 16:00~
場所 総合研究棟6F クリエイションルーム
Microarray Analysis of Brassinosteroid-Regulated Genes
in Arabidopsis
Hideki Goda, Yukihisa Shimada, Tadao Asami, Shozo Fujioka,
and Shigeo Yoshida
Plant Physiology 130:1319-1334(2002)
ブラシノステロイドはステロイド性の植物ホルモンで成長と発達に重要である。植物にブラシノステロイドを与えると、細胞伸長と分裂、管状要素の分化、重力による器官屈曲、エチレンの生合成、そして器官離脱のようなストレスへの耐性といった、広い範囲の生理学的効果を誘導する。ブラシノステロイドについては最近生合成と変異体の感受性がわかってきてはいるが、ブラシノステロイドの作用機序については理解が乏しい。
我々はBR欠損変異体det2とWTを、10 nMブラシノライドに晒し、また偽処理をした、そして高再現性オリゴヌクレオチド基礎アレイ、Arabidopsis Genome Array(Affymetrix, Santa Clara, CA; Lockhart and Winzeler, 2000)を使って8000以上の遺伝子において、ふたつの処理間で比較した。
BR制御遺伝子は普通det2で野生型よりも強力に応答した。そして、ブラシノステロイド非感受性のbri1では限られた反応になった。小さな遺伝子群がdet2よりも野生型で強い反応を示した。ブラシノライドとブラシノゾール(ブラシノステロイド生合成の阻害剤)に植物を曝露すると、特定された遺伝子の発現に反対の効果が誘発された。
Brで発現する遺伝子のリストはフィトクロム相互作用因子3、オーキシン依存遺伝子、P450遺伝子、細胞伸長と細胞壁を組織化することに関係する遺伝子らを含む遺伝子翻訳因子を含む遺伝子群からなっている。ここで示す結果は分子マーカーとしてのBR反応性遺伝子を使ったブラシノステロイドの生理学的機能の包括的な見解を提供する。BR反応性遺伝子のリストは新しい変異体と、ブラシノステロイドの機能に関連する成長調節物質のキャラクタリゼーションに有用であろう。
興味のある方は是非ご来聴ください。 三森 裕吉