2005年度 前期第18・19回 細胞生物学セミナー

 

日時    2004年7月5日(火) 16:30~

場所    総合研究棟6F クリエイションルーム

Gibberellin-regulated XET is differentially induced by auxin in rice leaf sheath bases during gravitropic bending

 

Dayong Cui, Steven J. Neill, Zhangcheng Tang and Weiming Cai

 

Journal of Experimental Botany 56:1327-1334(2005)

 

オーキシンの非対称分布は重力屈性に基礎的な役割をしている。オーキシンに関しては、オーキシン代謝と輸送に変異を持つ変異体で重力屈性応答に変異が見られることが確認されている。また、重力屈性応答はオーキシン輸送のインヒビターによってブロックされる(reviewed by Gloria, 2001; Blancaflor and Masson, 2003)。また、イネの芽生えを水平にする重力刺激はイネ芽生えの葉鞘基部の下半分に大量のIAAの一過性の蓄積を引き起こすことが分かっている。

しかしオーキシンの側方分布の起こす刺激が、成長にどのような方法で関わっているかについて、多くのことは分かっていない。

屈性のプロセスは一つ以上のホルモンのコントロール下にあり、他の植物ホルモンは重力屈曲の関与が調べられている。最近の研究は、重力に応答しない子葉鞘がないライ麦は、エチレンの外性適用で重力反応を示した(Edelmann, 2002; Edelmann et al., 2002; Kramer et al., 2003)。また、イネの芽生えを水平にする重力刺激は、IAAだけでなくジベレリンにおいても一過性の蓄積を引き起こすことが最近の研究で明らかになっている(Janet and Malcolm, 1974)。GA合成活性の遺伝子であるOsGA3ox1は、重力刺激によって、イネ芽生えの葉鞘基部の下半分に有意に誘導された。さらに、オーキシン輸送の阻害剤である2,3,5-トリヨード安息香酸(TIBA)は実質的にオーキシンの不等分布とOsGA3ox1発現の勾配を減少させた。キシログルカンエンドトランスグリコシラーゼをコードするXETの発現は、重力刺激を受けた葉鞘下半分の基部で誘導され、外性IAAとGA3によっても上方制御され、ANC(ジベレリン合成阻害剤)やTIBAはXET発現の勾配を減少させた。

これらのデータは重力刺激によるオーキシンの不等分布がOsGA3ox1の発現を通じてイネの葉鞘の基部にジベレリンの勾配を引き起こすことを示唆する。そしてそれゆえにXETの発現の非対称性が見られる。XETの発現によって引き起こされた、細胞壁の葉鞘屈曲部位での弛緩は、重力屈性の生長に貢献している。

 

興味のある方は是非ご来聴ください。        三森 裕吉