2005年度 前期第20,21回 細胞生物学セミナ-

日時:7月26日(火)16:30~

 

Characterization of Antirrhinum Petal Development and I dentification of Target Genes of the Class B MADS Box Gene DEFICIENS

 

Melanie Bey, Kurt Stu¨ ber, Kurt Fellenberg, Zsuzsanna Schwarz-Sommer,

Hans Sommer, Heinz Saedler, and Sabine Zachgoa,

The Plant Cell 16 3197-3215 (2004)

 

花の器官形成のメカニズムについては、花のホメオティック変異体を分析することで集中的に研究がなされてきた。シロイヌナズナやキンギョソウをベースとしたABCモデルは、ABC3つの遺伝子のグループの組み合わせによって花器官の形成が決定されることを確立した。

キンギョソウ(Antirrhinum)の花弁と雄蕊の器官形成に関しては、クラスB遺伝子であるDEFICIENSDEF)とGLOBOSA(GLO)がコントロールしていことが報告されている。さらに、DEFGLOは各タンパク質がDEF/GLOヘテロダイマーを形成することで機能する。つまり双方が発現しなければ、どちらのタンパク質も機能できない相互依存性のある関係であることが示されている。しかしながら、DEF/GLOヘテロダイマーによって誘導されると考えられる下流の標的遺伝子については、ほとんど知られていない。

キンギョソウの花弁は特徴的な形態から、花の形態形成の研究に有益な要素を多く持っている。また、最近、大規模なESTコレクションが確立された。そこで著者らはキンギョソウを用いてマクロアレイによる遺伝子発現プロファイリングをおこない、花弁の形成に関わるDEFの標的遺伝子の探索をおこなった。さらに詳細な分析をおこなうためRT-PCRとin situ hybridizationによる遺伝子の発現パターンを解析した。

 まずDEF温度感受性変異体def-101を作出し、DEF機能の低下が形態に現れる花の発達ステージを観察した。するとDEF機能は、ワール4(心皮)の発達の開始に要求される初期の一時的な機能と、正常な花弁と雄蕊の分化に要求される継続的な機能があることが分かった。これらの結果は、DEFの異なる調節プロセスに対して、それぞれ異なった標的遺伝子が存在する事を示唆した。よって、花の後期発達に見られた継続的なDEF機能について詳細に調べるために、4つの明確なステージに分けてマクロアレイ解析をおこなった。その結果から、特に花弁発達の後期において、DEFによって発現が増加調節される遺伝子が多いことが分かった。次いで、特異的な発現をしたcDNAについてアノテーション(機能注釈)をおこない、標的遺伝子を絞込んだところ、DEF機能の低下によって発現が減少した遺伝子は69、発現が増加した遺伝子は52あることが示された。また、新規機能をともなって分類できないタンパク質が多く存在したことを含め、花の形態形成におけるDEFの標的遺伝子は多様な調節機能を持つことが強調された。そこで、各調節経路を代表する遺伝子を9つ選抜し、これらのDEF依存性をRT-PCRで確認した。どれも短時間の間隔で変化するDEF機能に応答しており、これらの遺伝子の転写はDEFによって直接的に調節されている可能性が考えられた。さらに、in situ hybridizationにより各花器官における詳細な発現パターンを解析したところ器官特異的な発現が見られ、RT-PCRが示した結果とほぼ一致した。

 変化するDEF機能に対して、速やかに応答する遺伝子の発現が花弁以外の器官でみられたことから、DEFは花の形成中に起こる多様な基本的過程を調節する複雑な機能を持つことが示された。

 

興味をもたれた方は是非ご来聴ください。      川田梨恵子