2005年度 後期第1・2回 細胞生物学セミナー

 

日時    2005年10月11日(火) 16:30~

場所    総合研究棟6F クリエイションルーム

Disruption of the F-actin cytoskeleton limits statolith

movement in Arabidopsis hypocotyls

 

Maria Palmieri and John Z. Kiss

 

Journal of Experimental Botany, Vol. 56, No. 419, pp. 2539-2550, September 2005

 

F-actin細胞骨格は、重力刺激を受けた平衡細胞で沈降するアミロプラストと相互作用することにより、重力屈性を引き起こすシグナル伝達に重要な役割を果たしているという仮説が立てられている。これまでの研究で、F-actin細胞骨格をLatrunculin Bで脱重合、重力屈性が茎のような器官と根で増大し、また、コルメラ細胞でのアミロプラスト沈降はより速くなっていた。これらの結果はF-actin細胞骨格がアミロプラストの動きを変化させ、また重力屈曲のための情報伝達に関わっていることを示唆する。

この研究では、まずF-actinの破壊が茎様器官におけるアミロプラストの沈降におよぼす効果を決定づけるため、シロイヌナズナの胚軸をLatrunculin Bで処理し、アミロプラスト沈降の動態において、90度回転した再配向時から時間をおって、内皮細胞のアミロプラストの位置を決定することで、詳しく解析を行っている。このとき、Lutrunculin Bで処理した試料の内皮細胞のアミロプラストは、有意な動きを見せなかった。

共焦点顕微鏡による観察をLatrunculin BのF-actin細胞骨格の破壊を確かめるために行った。この結果は胚軸の内皮細胞のF-actinは効果的に破壊されていることをしました。F-actin細胞骨格のLatrunculin Bによる破壊がアミロプラストの可動性を著しく減少させたことから。そしてこれらの結果は、胚軸の内皮細胞におけるアミロプラストの沈降はF-actin細胞骨格に依存していることを示唆した。

この論文では、F-actinが内皮平衡細胞における平衡石の移動を活発にすることで、重力応答を変化させるという 茎状器官における重力屈曲モデルが提唱されている。

興味のある方は是非ご来聴ください。        三森 裕吉