2005年度 後期 7・8・9回 細胞生物学セミナー

日時:11月1日(火) 16:30~

場所:総合研究棟6階 クリエーションルーム

 

Two Azuki Bean XTH Genes, VaXTH1 and VaXTH2, with Similar Tissue-Specific Expression Profiles, are Differently Regulated by Auxin

 

Takuma Nakamura, Ryusuke Yokoyama, Etsuko Tomita and Kazuhiko Nishitani

Plant and Cell Physiology, 2003, Vol. 44, No. 1 16-24

 

双子葉植物の細胞壁は主にセルロースミクロフィブリルとキシログルカンを主成分とするマトリクス多糖類で構成されている。細胞壁内ではキシログルカンが隣接するセルロースミクロフィブリル同士を水素結合によって架橋し、セルロース-キシログルカンの網目構造を形成している。この構造は細胞板形成から一次細胞壁、そして二次細胞壁の形成に至るまで絶えず変化している。現在までに細胞壁の構築、保持、細胞拡張と分化の過程に関わる遺伝子に関する報告はされているが、それらの遺伝子がどのように細胞壁のダイナミクスに関わっているかは依然として不明な点が多い。

エンド型キシログルカン転移酵素/加水分解酵素 (Xyloglucan Endotransglucosylase / Hydrolase;XTH) は細胞壁ダイナミクスに関わる重要な酵素の一つと考えられている。その酵素をコードするXTH遺伝子はファミリーを形成し、遺伝子の構造に基づいて3つのグループに分類される。本研究では、XTH遺伝子ファミリーの機能的多様性を明らかにするため、アズキ (Vigna angularis) のXTH遺伝子で非常に類似したアミノ酸配列を共有する、VaXTH1VaXTH2の発現解析を行った。

VaXTH1VaXTH2はともに成長中の第一節間の師部繊維で発現したが、それらの発現部位は全く同じではなかった。VaXTH1は節間の基部側の木部細胞でも発現したのに対して、VaXTH2はほとんど発現しなかった。また、それらの遺伝子は節間中で空間的、時間的に異なったmRNA分布を示した。VaXTH1は節間の中央部で、VaXTH2VaXTH1より基部側で発現のピークを示した。これらの遺伝子の発現時期は、師部繊維が発達する初期段階にVaXTH1が発現し、その後VaXTH2が発現した。

次に著者らは2個のアズキXTH遺伝子に対する植物ホルモンの影響を調べた。その結果、2個の遺伝子はともにインドール-3-酢酸 (IAA) によって正に調節された。しかし、VaXTH1に対するIAAの影響は0.25Mマンニトール(吸水を妨げ、細胞拡張を阻害する物質)で打ち消された。一方、VaXTH2IAAによる正の調節はマンニトールによる影響を受けなかった。さらに、各遺伝子におけるIAAの作用様式を調べるため、fusicoccin (オーキシンと類似した仕組みで細胞伸長を引き起こす、カビから単離された毒素の一種) を用いた実験を行った。その結果、fusicoccinはVaXTH1を正に調節したが、VaXTH2は正に調節されなかった。そして、VaXTH1fusicoccinによる正の調節は0.25Mマンニトールによって打ち消された。

以上のことから、構造的に類似したVaXTH1VaXTH2では発現部位は基本的に同じであるが、師部繊維の異なる発達段階で発現すること、そして異なる反応系でIAAによる正の調節を受けることが示唆された。

 

 

興味をもたれた方は是非ご参加ください。 西本 真奈美