2007年後期 第2回 細胞生物学セミナー

日時:10月9日(火)17:00~

場所:総合研究棟6階クリエーションルーム

 

Magnetic Field Exposure Stiffens Regenerating

Plant Protoplast Cell Walls

Haneda,T., Fujimura,Y Lino,M (2006)

 Bioelectromagnetics,27 : 98-104

 

 

地磁気は磁気を感知する生物にとって偏在する情報源であり、渡り鳥や回遊魚は地磁気情報を利用して回帰してくると言われ、近年の研究により、磁気を感じる生物は動物だけでなく、植物も磁気を受容する可能性が示唆されている。

 本研究では、磁場における植物の特に細胞や細胞壁、さらに細胞壁を酵素等を用いて分解したもの、プロトプラストなどの応答を調べた。

 実験材料として2年以上懸濁培養したニチニチソウ(Catharanthus roseus)の葉の細胞と、そのプロトプラストを用いた。磁場を発生させるものとしてネオジム永久磁石(元素番号60、六方最密充填)を使用しており、302±8[mT]の大きさの定常磁場で材料を数時間処理し、細胞および再生しているプロトプラストの弾性力(圧縮力)と直径の測定をするとともに、また、細胞壁が再生しているプロトプラストを蛍光染料(主にセルロースを染めるCalcofluor Whiteという染料)で染色し、細胞壁を合成と再生しているプロトプラストの蛍光強度を顕微鏡で測定した。

その結果、無傷の細胞および、再生しているプロトプラストを磁場にさらしても、これらの直径について統計的に有意な差は見られなかった。

弾性力(圧縮力)に関しては、無傷の細胞では統計的に有意な差は見られなかったが、再生しているプロトプラストでは統計的に有意な差が見られ、磁場にさらした方のプロトプラストの弾性力が上昇した。

細胞壁合成の指標としての再生しているプロトプラストの蛍光強度については、測定開始からの時間との間に相関関係が見られたが、セルロースの相対量について処理区と対象区との間には統計的に有意な差は見られなかった。

以上より、ネオジムを用いた強磁場環境によりプロトプラストの弾性力が増し、コントロールと比べて破壊されにくいことが示された。さらなる研究から、細胞やプロトプラストのメカニカルな物理的特性や、細胞壁の弾性を磁場を用いてコントロールすることができればバイオマテリアルとしての応用が期待できる。

 

 

 

興味を持たれた方はぜひ来聴下さい。地球科学科 深山 潤一