2022年度後期 第14回 細胞生物学セミナー

日時：12月6日（火）16:30～　場所：Zoom

Morphology and ultrastructure of Interfilum and Klebsormidium (Klebsormidiales, Streptophyta) with special reference to cell division and thallus formation

Mikhailyuk, T., Holzinger, A., Massalski, A. & Karsten, U.

Eur. J. Phycol. 49(4): 395–412, (2014)

InterfilumとKlebsormidium（Klebsormidiales, ストレプト植物）の形態学と微細構造、
特に細胞分裂と葉状体形成について

藻類の分類法では異なる手段（形態形成、微細構造、分子系統学）によって得られるデータを組み合わせることが重要であり、近年、緑藻類やストレプト藻類の分類学的な見直しが行われている。InterfilumとKlebsormidiumは代表的な近縁属であり、Interfilumは単細胞や2細胞、または小胞であるのに対し、Klebsormidiumは単一なフィラメント状と、異なる形態的特徴がある。先行研究によると、これらの異なる葉状体は無性生殖（cytogony）と植物性細胞分裂（cytotomy）の異なるタイプの細胞分裂によって形成されるが、その形態と超微細構造の調査からは2属の間に高い類似性が示されている。本研究では、InterfilumとKlebsormidiumの異なる形態がどのように形成されるかを明らかにするため、プロトプラストと細胞壁、細胞剥離時の細胞壁の「挙動」と、細胞分裂時の形態に重点を置いて、詳細な形態と微細構造の解析を行った。

InterfilumとKlebsormidiumの100株を2～3週間または2～3ヶ月培養し、光学顕微鏡観察、共焦点レーザー走査型顕微鏡、TEM観察を行った。光学顕微鏡観察の結果、どちらの属においても、隣り合う細胞の細胞壁と親細胞壁の間や、細胞小胞内の細胞壁間に空間があり、また、剥離した親細胞壁によるキャップ型やH型の細胞壁断片があるなどの特徴を持っていた。これらの特徴は、どちらの属も、各細胞が個々の細胞壁を持ち、共通の親細胞壁や親細胞壁の残骸の一部も持っていることを示していた。葉緑体とミトコンドリアの蛍光を観察した結果からは、どちらの属においても、様々な裂け目を持つ板状の葉緑体と、核の周囲と葉緑体に沿って複数の多型ミトコンドリアが存在することがわかった。また、TEM観察の結果、どちらの属の株も細胞壁の周りが、数世代に渡る親細胞壁とその残骸によって層状になっていることが観察された。両株とも、細胞壁と細胞外壁の間に三角形の空間が見られた。

したがって、InterfilumとKlebsormidiumの細胞は、おそらく同じタイプの細胞分裂（無性生殖のような）で分裂すると考えられた。2属の異なる種を代表する様々な株は、細胞壁の微細構造の違い、特に娘細胞壁を取り囲む親細胞壁の保存性、破裂、ゲル化の度合いによって特徴づけられた。これらの株で示された異なる形態は、細胞分裂や剥離する時の親細胞壁の特徴に起因する。今回の結果と先行研究により、2属間の形態の違いは、主に細胞分裂と剥離後の親細胞壁の運命が異なることによる結果であると示された。この2属の間で異なる形態に発生するのは、複数の起源によるものではなく、細胞の形、細胞壁の質感、細胞間の力学的相互作用、環境条件の影響などの特徴による小さな形態的変化の結果がほとんどであると考えられる。

興味を持たれた方は是非ご参加ください。ZoomのURLをお知らせします。成瀬真友香