2023年度前期 第1回 細胞学セミナー

日時:59日(火)1700〜 場所:Zoom

ROP Interactive Partners are Involved in the Control of Cell Division Patterns in Arabidopsis Leaves

Hasi, Q., Kakimoto, T. (2022)

Plant Cell Physiol. 63(8): 1130-1139

 

シロイヌナズナ葉においてROP相互作用パートナーは細胞分裂パターン制御に関与する

 

植物細胞は細胞壁に囲まれており, 移動することができないため, 細胞分裂の方向性が重要である. 動物では, GTPaseRhoファミリーが細胞の極性化と細胞分裂面の決定に重要な役割を果たしており, 植物においても, RhoGTPase(Rho of plantsROPs)が細胞骨格と小胞輸送を制御することで葉表皮における細胞形状の決定や, 根・花粉管伸長などの細胞極性を制御し, 細胞分裂面の決定にも関与している. また, これらの働きはROPエフェクターであるROP-interactive CRBI motif-containing proteins(RICs)interactor of constitutive active ROPs(ICRs)/ROP interactive partners(RIPs)と呼ばれる2種類のファミリーによって引き起こされるが, RIPs欠損変異体に関する解析は未だ十分に行われていない. 本研究ではシロイヌナズナを実験材料に, RIPs-GFP, mCherry-TUB6発現株(RIPs, 微小管可視化株), RIPs欠損変異株・過剰発現株を作成し, 葉表皮における機能解析を行った.

 まず, RIPs, 微小管可視化株を用いて, RIP15の細胞内局在について調べた. その結果, 全てのRIPs-GFPシグナルは細胞表層において糸状構造を示し, 微小管と共局在した. さらに, RIP1, RIP3, RIP4は分裂準備帯(Preprophase bandPPB), 紡錘体, フラグモプラストに局在し, RIP2, RIP5PPBと有糸分裂期に染色体を除いた細胞質に広く局在した. この局在の違いから, RIP1, RIP3, RIP4RIP2, RIP5のタンパク質特性が異なることが示された.

 次に, T-DNA挿入またはCRISPR/Cas9によるRIPs欠損変異株を作製し, 葉の表現型について解析した. その結果, PPB, 紡錘体, フラグモプラストに局在するRIP1, RIP3, RIP4を欠損させた三重変異体(rip1 3 4 ), 野生型と比較して葉の長さ, , 細胞数に有意な差は無かったが, 四重変異体のrip1 2 4 5, rip1 2 3 5, 五重変異体のrip1 2 3 4 5では, 野生型よりも細い葉が生じた. そこでrip1 2 3 4 5の葉の裏側の表皮細胞を観察すると, 葉の縦軸よりも横軸に沿った細胞の方が多く減少していることが分かり, この表現型は葉の縦横の細胞数の比率の変化に起因することが示された. また, rip1 2 3 4 5をバックグラウンドに作出された微小管可視化株を観察すると, rip1 2 3 4 5は野生型よりもPPB, 紡錘体, フラグモプラストを持つ細胞が減少していることが示された. 加えて, PPB配向角度について調べると, 葉の長軸に対して平行なPPBを持つ細胞が減少していることが示され, 葉の横軸に沿った細胞数の減少や葉が細い表現型を説明する結果を得た. さらに, 花弁についてもrip1 2 3 4 5は葉と同様の細長い表現型を示し, 横軸に沿った細胞の減少と縦軸に沿った細胞の増加が確認された. さらに, rip1 2 3 4 5をバックグラウンドに微小管プラス端と相互作用するEB1を可視化し, 微小管プラス端の動態解析を行うと, rip1 2 3 4 5は野生型よりも微小管の伸長速度が速いことが分かった. また, 微小管を可視化したRIP1またはRIP4過剰発現株を作出し, 葉の裏側表皮細胞を観察した. その結果, 微小管の断片化や細胞を完全に二分割できていない不完全な細胞壁形成などの異常が確認された.

 以上の結果から, RIPsは微小管と共局在し, RIP1, RIP3, RIP4は細胞分裂過程のPPB, 紡錘体, フラグモプラストに局在することが明らかになった. 加えて, 細胞分裂面の決定に関与するROPsのエフェクター分子であるRIPsは微小管伸長速度を調節すると共に, PPB配向と細胞分裂方向の制御し, 葉や花弁の形成に関与することが示唆された.

 

興味を持たれた方は是非ご参加ください. ZoomURLをお知らせします. 栗田紘生