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「環境要因と植物の組織・細胞分化」

 植物の形作りにとって環境の影響がどれほど重要かを理解するために、植物の芽生えを明るいところと暗いところで育てた場合、どのような形になるか、思い浮かべてみて下さい。明るい所で育てると青々とした葉が展開しますが、暗いところで育てると白っぽくひょろひょろのモヤシになります。同じ植物なのにどうしてこんなに違う外形になるのでしょう?それは、植物は環境が変化しても動物のように容易に逃げることができないために、自らの置かれた環境に順応してとてもフレキシブルに体の形を作るためだと考えられています。つまり植物は動物と違って、刻々と変化する環境に対応しながら、体の形作りを行っています。
 植物の外見はこのように大きく変化しますが、では内部はどうなのでしょう?植物の体の中を見ると、様々な組織でできていますが、では体の中の細胞や組織の発達は、環境要因、植物ホルモン、細胞どうしの相互作用によって変化するのでしょうか?実はまだ余りわかっていません。そこで私たちの研究室では、根や茎の中にあるカスパリー線や道管などの発達に注目して、蛍光顕微鏡や電子顕微鏡を使って、組織や細胞の発達が環境によってどのように変化するかを調べています。

環境要因によるカスパリー線の発達制御

 全ての維管束植物の根には、吸収した溶質のを保持するとともに、有害な物質の進入を防ぐ、カスパリー線とよばれる構造が内皮組織に発達します。カスパリー線は根における物質輸送の要としての役割を果たしているため、その発達は環境要因によって柔軟に制御される可能性が考えられます。そのため、環境要因による植物の内部組織の発達制御を研究するためには格好のモデルです。私達はカスパリー線の形作りを素過程に分解し詳細に解析することを通じてその仕組みを明らかにすることを目指します。現在は、土壌中のストレス(塩分)や光、またそれらの環境要因を媒介する内的要因として植物ホルモン(ジベレリン・エチレン)に着目しています

カスパリー線の分子構築

 植物には中枢神経系のように情報を集中制御するシステムが存在しないにもかかわらず、全体としては統率のとれた体を作っています。そのためには個々の細胞間の相互作用が重要な役割を果たしていると想像されます。カスパリー線はそのことを最もよく表している構造です。そこで、植物組織における細胞間相互作用の仕組みを明らかにしていくため、カスパリー線の発達を分子レベルでとらえようとしています。

重力環境と二次壁形成

 地球上では、重力という強力な環境要因のもとに植物は進化してきました。そのため植物の維管束などの支持組織の構造や発達は重力環境と深い関わりを持っていると考えられています。しかし地球上で重力を取り除くことはできないため、宇宙ステーションJEM「きぼう」における実験を目指します。地上ではクリノスタットや遠心機を用いて重力環境を調節し、これらの環境変化が二次壁の形態やリグニン量に与える影響を調べるなどの地上実験をおこなっています。そして現在、実際に富山大学生物学科神阪盛一郎先生のプロジェクトに深く関わりながら、ステーションにおける植物栽培装置の開発試験に取り組んでいます。

電子顕微鏡トモグラフィーを用いた小胞輸送の細胞生物学的解析

 植物の体の内部においては、あたかもブロックが積み重なるようにして細胞が組織を形成していきます。そのためブロックである細胞の積み重なり方(方向や位置関係)が重要であるため、個々の細胞の極性形成が重要であると考えられます。そこで分裂準備帯の発達をモデルとし、細胞細胞内部で局所的におこる小胞輸送に着目し、電子顕微鏡トモグラフィーを用いて、微細構造レベルで細胞内部を立体再構築し、小胞の形態・分布を解析しています。
所属学会
日本植物学会、日本植物生理学会、根研究会、日本植物形態学会、日本細胞生物学会、American Society for Plant Biologist